R.シュトラウス/ドン・ファン、ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら/マゼール-CLO/1979.5

クリーヴランド管とのR.シュトラウス。「英雄の生涯」とのカップリングで「ドン・ファン」「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」が収録されている。これまたおっそろしい切れ味。
CD BOX「LORIN MAAZEL GREAT RECORDINGS」にはなぜか収録されていない(Disk19は「英雄の生涯」のみの収録で僅か40分)。
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R.シュトラウス:英雄の生涯*交響詩

R.シュトラウス:英雄の生涯*交響詩

持ってないけど2014年発売の2枚組CDも参考までに。

R.シュトラウス/英雄の生涯/マゼール-CLO/1977.1

CDボックス「LORIN MAAZEL GREAT RECORDINGS」Disk19。
日本の評論家のマゼールへの評価はあまり高くなく、レコードアカデミー賞受賞はクリーヴランド管との2枚のみ。この「英雄の生涯」は2度目の受賞盤。
いやすんごい切れ味。月並みな表現だがカミソリのよう。
同一演奏のCDを90年代にも買っており、こちらは「ドン・ファン」「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」も収録されている。
これは私が初めて買ったR.シュトラウスのCDだが、かっちょいいと思える箇所は随所にあるものの全体を通してはよくわからない作曲家だった。にもかかわらずバイエルン響との再録音ものを懲りずに買ったりしていた。
尚、このCDの(恐らくLP盤も)ライナーノーツ執筆者はあの宇野巧芳。70年代のマゼールの変貌に対してこう語っている。当たっているかどうかは知らない。

最近の彼は自らの並はずれた表現意欲を厳しい意志の力で抑え、洗練された、又は凝縮された演奏をすることを第一に心がけているのではないか。それを将来の大きな飛躍の踏み台にするために……。

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R.シュトラウス:英雄の生涯*交響詩

R.シュトラウス:英雄の生涯*交響詩

Lorin Maazel Great Recordings

Lorin Maazel Great Recordings

  • 発売日: 2011/11/02
  • メディア: CD
持ってないけど2014年発売の2枚組CDも参考までに。

ラヴェル/ボレロ他/マゼール-NPO/1971.6

マゼールボレロ初録音。不評だった「展覧会の絵(2度目)」と同じオーケストラで録音時期も近いが、こちらは好演。
以下、このCDのラインナップ。

1. ボレロ
2. 逝ける王女のためのパヴァーヌ
3. 道化師の朝の歌
4. ラ・ヴァルス
5. 展覧会の絵ムソルグスキー

5は別記事https://ohige.hateblo.jp/entry/2020/11/18/163331に書いたやつ。
特筆すべきはなんといっても初録音の高速ボレロ。僅か13分5秒で世界最速と言われている。マゼールが大人しくなったと言われる時代の少し前の大暴れ。(フィードラーか誰かによる10分くらいの録音があるという情報をだいぶ前にネットで見た記憶があるが、今探しても情報が見付からない。何かの間違いだろうか。)

さて個人的にはラヴェルという作曲家の管弦楽曲はどれもこれも好きというわけではない。再生装置の性能の問題なのか「こもって」聴こえるものが多いように感じるのだ(ラヴェルは低音好きらしい)。「道化師の朝の歌」もそうだし、もっと顕著なのが「ラ・ヴァルス」。曲もアレンジもなんかよくわからん。人気曲なんだけどね。「ウインナ・ワルツへの礼賛」というけど、終盤の破壊的な展開のどこが礼賛なのかわからんのです。
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ラヴェル:「ボレロ」

ラヴェル:「ボレロ」

ムソルグスキー/ラヴェル編/展覧会の絵/マゼール-The Phil/1962.6

マゼール32歳の時のフィルハーモニア管弦楽団との初録音。若い頃のマゼールの特色がよく表れた歯切れのよい演奏。
1971年のニュー・フィルハーモニア盤との違いはというと、ディティールの差異に気付けるほど聴き込んでいないこともあって、よくわからない。それでもどういうわけか、この初回盤の方がいいと思える。

「EMI CLASSICS エタニティ 1200」と銘打たれた廉価CDシリーズで、ラヴェル管弦楽曲4曲とのカップリング。発売日は93.6.9とある。当時の1,200円CDは、これが先駆けというわけではないと思うけれどインパクトあったね。
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ラヴェル:「ボレロ」

ラヴェル:「ボレロ」

尚、LP発売時は「牧神の午後への前奏曲」がカップリングされていた模様。
wmg.jp

ムソルグスキー/ラヴェル編/展覧会の絵/マゼール-NPO/1971.10

マゼール2度目の録音。しかも初回はフィルハーモニアとだから同一オーケストラと言っていい(のか?)。1978年にはクリーヴランド管と3度目の録音をしている(未聴)。
マゼールらしからぬ大人しい演奏で印象が薄い。評価も高くはないようだ。私も初回録音の方が好き。
ゴテゴテのハッタリ満載の演奏だってお手のもののはずだが、一体どういう考えでこういう演奏をしたのだろうか。時期的にはクリーヴランド管の音楽監督になる前の年。
カップリングは「シェエラザード」。取り合わせは豪華なのだが。

リムスキー=コルサコフ/シェエラザード/マゼール-CLO/1977.10

ベルリンフィル盤の8年前に録音されたクリーヴランド管弦楽団盤。
このCDを買った日のことはよく憶えている。自動車学校での実技試験で補助ブレーキを踏まれながら合格という偉業をなし遂げた帰りに横浜のCD店で見付けて買った。
展覧会の絵(こちらはニュー・フィルハーモニア盤)」「シェエラザード」と、当時好きだった数少ない管弦楽組曲カップリング、しかもマゼール指揮とあっては買わないわけに行かない。まあ演奏はいまいちでしたが。
いやかれこれ20年ぶりくらいに聴いたけど、思ったよりよかった。当時ベルリンフィル盤がわりと気に入っており、それと異なる演奏をすんなりと受け入れられない頑なさが当時はあったのだと思う。
クリーヴランド管とのこの演奏は、70年代のマゼールの特色がよく表れているように思う。スリムで歯切れよく、ディティールに独自のこだわりを見せ、そして……ちょっと素っ気ない。とっつきやすい反面、極彩色のギトギトしたものとは対極の演奏なので評価は割れそう。(でもネット上には「重厚かつゴージャス」と正反対の感想を述べている人もあり。)
ちなみに手許のCDの価格は税抜1748円の税込1800円。消費税率3%の時代であります。

ラフマニノフ/ヴォカリーズ/マゼール-BPO/1983.3

シェエラザード」とのカップリング。
「ヴォカリーズ」は独唱曲集「14の歌曲」の最終曲。また、「ヴォカリーズ」とは歌詞を伴わずに母音のみによって歌う歌唱法とのこと。テストに出ます。
このアルバムに収録されているのは管弦楽編曲版。